新型コロナウイルス蔓延による世界的なパンデミックから、3年という月日が経過しようとしている。観光大国日本において、新型コロナウイルスによる入国規制、国内における緊急事態宣言等の発令に伴う、不要不急の外出を避けるアナウンスは、あらゆる観光地の景色を一変させたのは、既に歴史に刻まれたことである。

 

観光大国において、人流の規制というのは非常に痛手なものである。東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京では、多くの訪日客を想定したホテルの建設や様々な再開発が大きく進んでおり、このパンデミックによって多くの不安と結果としてかなりの経済的損失を生んだのも事実である。

 

コロナ前の日本の観光と、コロナ後の日本の観光について、北海道を実例に考えていきたいと思う。北海道というと国内外問わず人気観光地の一つであるが、私たち日本人においても驚きなのはその土地の広さである。本州にあてると端から端は東京・大阪間もあり、四国はまるごと4つも北海道に収まるという。このような広大な土地を持つ北海道が抱える観光資源も多様である。

 

北海道といえば、北国を思い浮かばせるような冬の景色を想像する人が多いのではないだろうか。北海道の観光資源としての良質な雪を活かしたスキーなどの冬のレジャーに関しては、ニセコを中心に海外からの注目度は高い。冬の観光のみならず、広大な土地と自然は春夏秋冬という日本の四季に合わせて、様々な景色を見せてくれる。

 

一方で、広大な土地を一つの地方自治体が取り仕切っているというのが驚きなのである。人口減少に歯止めの効かない日本において、広大な土地に暮らす人々の生活を維持するためのあらゆるインフラを維持することも非常に難しくなっているのである。例えば、交通手段である路線の廃線が相次いでいることは周知の通りである。これらの交通手段が減るということは、住む人々の生活のクオリティの低下を招くほか、観光客の移動手段の選択肢を狭めてしまうことにも繋がるのである。

 

北海道には、まだ未開拓の良い資源を持っている土地はたくさんある。しかし、交通の便が悪いとなると、外から人を呼ぶのに不利になる。そうした際に、どのような土地であれば人々が集まるのかを考えることが重要となってくる。いわゆる「目的型来訪」をいかに創造するかということである。目的型来訪を増やすためには、一つ前提として以下のようなことを把握しておく必要がある。それは、個人あるいは一法人のみでは成立させることは極めて難しいということである。例えば、自然豊かで空き家の多い土地で空き家をリノベーションし、コワーキングスペースをつくったとしよう。自然豊かな土地で仕事をしたいニーズはあったとしても、交通の便が悪く、片道5時間かけて行く人はそう多くないと考えられる。そのまちに何があるのか、そのまちのハブとなっているコワーキングスペースに行くと何が得られるのか。そういった何かを得ることができると考えた時に、人は初めて足を運ぶのではないだろうか。

 

いわゆる、これまで日本が起こしてきたあらゆる失敗の一つである、ただのハコモノをつくってしまうという課題の問題点は、目的が明確になっていない、あるいは合致していないという問題が隠れているのである。目的型来訪を増やすためには、多くのステイクホルダーを巻き込んでいくことと、目的とゴール設定を全体で確認し、まちとコミュニティが一体となって同じベクトルを向いて動いていく必要があるのである。

 

それらを逸脱した事業やサービスはまち全体の統一感を失い、コミュニティも緩やかに崩壊していくだろう。そういった場所に人は行きたいと思えるだろうか。ウィズコロナ政策として、観光業はどう変わっていくのか、受け皿としての地域はどうあるべきなのか。そして、そこに眠るビジネスチャンスについて北海道観光ビジネスとして発信していきたいと思う。